
お気に入りというか、高校生の頃に読んで、当時すごく衝撃を受けて、いまだにその感動というか、読んだ時のイメージを保ち続けている本があります。
それは夢野久作氏の「ドグラ・マグラ」。
今でこそ入手しやすくなり、電子書籍でも手軽に読めるようになりましたが、80年代前半ごろは大きな書店に行かねば置いてなかった記憶あります。
角川映画をきっかけに、近代探偵小説が見直されブームに乗って再発売されてた頃の話です。
日本の推理小説・異端文学で「三大奇書」にもあげられる「ドグラ・マグラ」。
その世界観もさることながら、とにかく全体の構成がすんごくよくできている!と当時思ったものです。
イントロの「胎児よ 胎児よ 何故躍る 母親 の心がわかって おそろしいのか」という巻頭歌から、精神病院へ舞台は変わり、主人公が途中何度も入れ替わるという話で。
確かにとっても読みにくいっちゃ読みにくいです。
ちなみに後の二冊「黒死館殺人事件」はよくわかんないドイツ語風味のルビが読みにくくしてるだけで、お話は割に単純。(ただ最後まで読むと「法水くん、なんで出てきたの?」感がありますが)
「虚無への供物」は戦後に書かれた小説だけあって、この中では一番読みやすいかな。現在の本格ミステリー作家に影響与えてそうです。
私の場合は子どもの頃住んでいた家の雰囲気と「ドグラ・マグラ」の世界観がどことなく重なる部分があって受け入れやすかったのかなと思ったり。←それもどうかと思いますが;;
この本を読んだ後、物語の全体構成をとっても気にするようになったなーと思います。
ひいては物事の事象を俯瞰してみるような意識づけされたかなと。これがキャリアカウンセリングにつながっているような感覚があります。
この本を読んで以来「全体の構成」という観点で「これはすごい!」って思ったのはマルシア・ガルケス氏の「百年の孤独」くらいかなあ。
スティーブン・キング氏のダークタワーシリーズを最後まで読んで「ドグラ・マグラ」がいかに良くできた小説なのか再認識することにもなりました。
(や、途中までは異世界てんこもりで面白かったのですが、ラストシーンが「ドグラ・マグラ」みたいな構成だったので)
「物事を見る視点」「多角的にものを見る」を意識するようになったのは間違いなくこの本の出会いから。
そう考えると「本との出会い」も「人との出会い」に通じるものがあるかもですね。
余談ですが、「ドグラ・マグラ」映画化された時の舞台挨拶も見に行きました。正木博士を桂枝雀さんが演じてましたが、今思い返してもハマり役やと思います(笑)。
・・・つづく。
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